小骨喰い


わずらわしさ半分、後ろめたさ半分に背をむけてもまだあきらめず、いつまでも絡んでくる。汗ばんだ肌を張り合わせていると、より鼓動を近く感じる。こころもち速い血の刻み。首筋の濡れた感触が肩をすべる。ゆっくりと戯れに喰んでいた歯がふいに強い力で噛みしめられて思わず顔をしかめる。後ろ手に髪を掴んでしかれば言いぐさが、んー、だって、ヒマだし、面白いし。固いなあ、あんた。すげえかじりがいある。しらっと言い放つ。
ふところに頭をねじこんで、すりつけて、どこまでももぐりこもうとする。どれほど願おうと人は一つにはなれない。最期は一人で。
こんなに実感あるのに、さ。な、あんた、ほんとに死んでるの。掌を持ち上げてかりかりと指の二の関節を八重歯で噛む。痛みよりもこそばゆさが勝つ感覚がふいに喉元を突き上げる。小骨をかじる犬の子の頭ぐしゃぐしゃにかきまわし。

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